喫茶を始めます。
古着屋として始めたこの場所も、気付けば五年が経ちました。
今では部屋もいくつかありますが、最初は一階の一部屋だけでした。
本当は、いくつか部屋がある状態で始めたかったんです。
でも、その時はまだありませんでした。
床は土で。
壁もまだ途中でした。
YouTubeを見ながら、何となく見よう見まねで作っていきました。
今思えば、よく始めたなと思います。
もちろん、今でも完成したとは思っていません。
補修ばかりしています。
気付けば、それもこの場所らしさなのかもしれません。
二階ができて。
もう一つ部屋ができて。
中二階ができて。
裏の部屋もできました。
ライブもできるようになりました。
ようやく最近になって、お店のような景色になってきた気がしています。
最初の頃は、とにかく中を作ることで精一杯でした。
外まで気が回らず、看板もありませんでした。
廃材も積みっぱなしで、近所ではお化け屋敷なんて呼ばれていたくらいです。
恥ずかしい話ですが、本当にそんな場所でした。
古着を始めて。
家具が増えて。
雑貨が並んで。
音が鳴るようになりました。
何かを決めて集めていたというより、その時々で必要だったものを拾ってきた感覚に近い気がしています。
でも、不思議とずっと足りないものがありました。
何を作れば完成なのかも分からないまま、少しずつ続きを作ってきたような感覚です。
その続きを考えた時、最後に残っていたのが喫茶でした。
もちろん、食事やコーヒーについても、自分たちなりにちゃんと向き合っていきたいと思っています。
飲食を始める以上、それだけを目的に来てくださる方にも、「来てよかった」と思ってもらえる時間でありたいと思っています。
ただ、自分たちにとって喫茶は、飲食というより、もう少し場所の話でした。
古着や古家具、雑貨、ライブは、ある意味では誰もが必要とするものではありません。
だから、この場所へ来る理由を持つ人は自然と少なくなります。
それについて良い悪いはありません。
ただ、それらを必要としない人が、この場所の扉を開ける理由は、あまりありませんでした。
喫茶は少し違います。
コーヒーを飲みたい日。
少し座りたい日。
今日はどこかへ行こうと思った日。
帰るにはまだ少し早い日。
そんな理由でも、この場所へ入ってこられる。
それが、とてもいいなと思いました。
そのあと服を見ているかもしれません。
流れていた音楽を覚えているかもしれません。
誰かと話しているかもしれません。
何も起きない日かもしれません。
どれでもいいと思っています。
ただ、この場所がなければ生まれなかった何かが、一つでも増えていったら嬉しいです。
それは思い出かもしれません。
会話かもしれません。
好きな服かもしれません。
名前のない、小さな何かかもしれません。
この場所は、建物を作っていたわけではありませんでした。
機会を作っていたのだと思います。
コーヒーを飲みに来た人が、服を見て帰る日があるかもしれません。
ライブを知る日があるかもしれません。
誰かと話して帰る日があるかもしれません。
何も起きないまま帰る日かもしれません。
でも、そのどれでもいいと思っています。
だから、その景色の中には喫茶がありました。
ずっと前から、あったような気もします。
どんな場所になるのかは、まだ分かりません。
来てくださる皆さんによって、この場所もまた少しずつ変わっていくのだと思います。
その少し先の読めないワクワクと一緒に、喫茶を始めます。
オープン予定
今年度中を目標にしています。
頑張れば11月。
頑張れなかったら、その少しあとです。
この場所について考えていることは、「景色の証明」という記事にも少し書いています。
今回の話は、その続きを、少しだけ形にしたような話です。
もし気になった方がいたら、そちらも読んでみてもらえたら嬉しいです。